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聖さん宅のHimawariちゃんお借りしました!
ご本人様のみお持ち帰りいただけます。



その可憐な名前から、彼女が生まれたのは夏だと、ずっと長い間勝手にそう思っていた。

太陽の日差しの強さを知らないその白い肌が焼けてしまわないように、嫌がる彼女に無理矢理大きな麦わら帽子を被せたことも、青いリボンを小さな顔の下で結んでやった時に、幼い彼女が珍しく不服そうな顔をして俺を睨んだことも、まだはっきり覚えている。

「夏は熱いから嫌い」

短くそう文句を言って、Himawariは顎にかかったリボンを細い指で解こうとした。強い日差しの下、彼女の肌は余計に白く見えて、俺は笑いながらその手をなるべくゆっくり止めた。解けかけた青いリボン。彼女の前にしゃがんだら、白いワンピースが風になびいてふわりと揺れる。君に似合うと思って作ったんだ。俺はリボンをもう一度結び直して彼女に言う。一瞬だけくるっと回って見せてくれないか? それが終わったら、脱いでいいから。
そうお願いしてみた俺だったが、彼女は一瞬踵を返したかと思うと、そのまま背中から俺の方に倒れこんできてしまった。軽い彼女の体を慌てて抱きとめると、腕の中にすっぽり収まる。夏の日差しにさらされる病的なまでに白い肌と、彼女の透き通った赤い瞳が、なんだか不安になるくらい、俺を急激に苦しくさせた。

「お気に召さない?せっかく作ったのに」
「子供扱いするからです」

首を後ろに傾けて、俺を逆さまに見上げながら、彼女はまた静かに文句を言った。
そりゃあしたくもなる。君は自分がどんなに危うげで、俺にとってどんなに儚い存在に映っているか、想像したことがあるかい? 溜息をつきたくなるほどに、俺は君が心配だ。君が嫌がると分かっていても、やっぱり俺は君を心配する。

艶やかな黒髪が風になびいて、俺はそっとHimawariの頭をなでた。意味ありげに俺を見上げる視線。わかってる、嫌なんだろう? でもこれぐらいいいじゃないか。君を子供扱いしてるわけじゃない。俺は君を愛してるから、大事にしたいと思うんだ。

俺が肩をすくめてみせたので、彼女は文句をいうのを諦め、ぼんやりと視線を漂わせてそのまま空を見上げた。俺も彼女を抱きかかえたまま、風にそよぐ碧い芝生に腰を下ろす。気持ちの良い夏の日だった。鮮やかな空には雲が浮かび、時折吹き抜ける風の心地良さに目を閉じる。穏やかな午後。しかし夏嫌いの彼女はそうは思わなかったらしかった。俺の腕の中で急に縮こまったかと思うと、俺が首を傾げる暇もなく、Himawariはぽつりと寂しそうに言ったのだ。

「私、早く大人になりたい。大人になれば、貴方と一緒にいられるのでしょう?」

どこか必死さのこもったその声色に、俺は怒られると知りながらまた優しい声を出した。今も一緒にいるじゃないか。なだめたつもりのこの言葉は、残念ながら、彼女には逆効果だった。その言葉を聞くなりHimawariはますます体を縮こませ、ぎゅっと俺の腕を強く掴んだのだ。俺はそこで、ようやく彼女が不安に駆られているようだと気がついた。

「そうじゃないの」

小さく震えるような声。俺は違和感を覚えて、彼女を見つめた。彼女は、Himawariは、かわいそうなぐらい真っ青になっていた。彼女が怯えているのか、後悔しているのか、それとも怒っているのか、俺には判断がつかなかった。ただそのうち彼女が俺の腕をつかむ力がどんどん強くなって、惹き付けられるように彼女を見つめていた俺は、彼女が泣き出しそうな顔をしたのを見て漸く我に返った。

「貴方が思っているよりずっと、たぶん私は、ずっと、ずっと強く、貴方のことを、」

小さな体を優しく抱きしめれば、あれだけ子供扱いを嫌っていたHimawariもぎゅっと強く俺にしがみついた。その姿はまだまだ俺にとっては庇護されるべき子供で、そんな彼女がなにか不安に押しつぶされそうになっているのがたまらなく辛かった。俺の耳元で彼女は小さく息を吸って、呪文か何かを唱えるように、こわごわと、でもしっかりと言葉を続ける。

「どうしたらいいか、分からないの。ただ、私だけのことをずっと見ていて欲しい。そう思ったら、止まらないの。守られるだけじゃ嫌なんです。Daddyさん、私は貴方と、ずっとずっと傍にいたい」

赤く淀んだ瞳の中、切実なまでの欲求がそこには潜んでいた。確固たる強い意志。俺さえも怯ませるような、力強い何か。幼い彼女が一瞬見せた気迫は、もはや子供のそれではなかった。Himawariは、俺の頬に手を伸ばし、崩れ落ちるように弱々しく、俺の耳にやっと届くような声で言う。


「私の傍に居てくれますか? ずっと、永遠に」
「もちろん、一人にしたりしないよ」

彼女は俺の言葉を聞くなり、まるで溜息を付くように微笑んだ。今思えば、彼女にはちゃんと分かっていたのだ。俺が口にした言葉が、彼女の望むものであってそうではないことを。俺が彼女の言葉の意味を、理解していないことさえも。

「やっぱり私、早く大人になりたい」

静かな口調で彼女は言った。

「大人になって、貴方のためだけの女の人になりたい」

静かだが力強い口調。さっきまで震えていた幼い彼女とはまた別人のように、Himawariはまた、そっと俺の耳元に口を寄せて言う。

「ねえDaddyさん、私を、ずっと離さないでくださいね」

俺の腕の中、しっかりと俺を抱きしめる彼女の強さとその儚さ。
俺はまた息が止まりそうなほどの、柔らかく、鮮烈で、急激な、目眩を覚えた。
ちょうど向日葵の花のように、君が体現する、その強い意志のように。








「お慕いしています、ずっと」









聖さん宅Himawariちゃんお借りしました! タイトルに使わせていただいたこのセリフはHimawariちゃんの設定ページにあったものです、もし都合悪いようでしたら書き換えますのでどうぞ遠慮なくおっしゃってくださいね! でもこのセリフほんとうにとてもとてもかっこよくて…!これを囁いてもらうしかないとおもった… これヒマワリの花言葉だったのですね!しびれました… Himawariちゃんの儚げな容姿といい不安定な性格といい残る幼さと大人びた姿勢といい、愛らしすぎて動悸がします… 体に悪そうな儚さを持つ女の子好きです… 傍に近寄りすぎて死にたい… 古風な、というワードがあったので、いつもうちのこがやってる直接的な好きだチクショー!!みたいなお話にならないように気にしてみました…でもHimawariちゃんがとても美しい子だったので、うまくまとめてくれたように思います… Himawariちゃん、ステキな恋のお話を有難うございました!聖さんもリクエストありがとうございました!とても楽しかったです!! また機会がありましたら、是非よろしくお願いいたします〜:)



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