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電気雨さま宅、ジャンドゥーヤさんお借りしました!
ご本人様のみのお持ち帰りでお願いします



「君は、来てくれないんじゃないかと思ってたんだが、」

目の前の灰色の男は、拍子抜けするほどあっさりとそう白状した。
小生がここにいるのが不思議だと言わんばかりのその物言いに、全く苛立ちを覚えなかったと言えば嘘になる。
ただ小生が眉をしかめた次の瞬間に、彼は例のあの忌々しいほど緩い笑顔で「来てくれてありがとう」などと平然と抜かして見せるので、
「貴様が呼んだから『わざわざ』来ててやったのだ」、そう言いかけた口を結んで、小生は代わりに小さく溜息を吐いた。

「貴様に呼ばれたときは、来るつもりなどなかったんだ。だが、こうも思った。お前に呼ばれなければ、二度と行く機会もないだろう、とな」
「ははは、ジャンは素直だなあ」

溜息混じりに落した声に、Daddyはにこりと笑顔を浮かべる。
その笑顔に小生は、ふん、と鼻を鳴らして視線をそらした
子供でもあるまいし、小生をあやすかのようなこの男のこの態度は気に入らん。
そもそもパーティーに来たのだって、この男のためなどではない。小生はこういった場所で浮かれ騒ぐやかましい奴らが嫌いなのだ。
目を細めて顔をしかめていると、Daddyの方は小生の心の内など全く感づいていない様子で小生の背中をぽん、と軽く押した

「せっかくパーティーに来たんだから、楽しまなくちゃね」

重ねて言うが、小生はパーティーを楽しみに来たのではない。
これはこの男の一方的な思い込みである。何が悲しくてかぼちゃだらけのオレンジ会場に仮装までして足を運ばなければならないのか――。
そうは思いつつも、現に目の前にはそのかぼちゃだらけのオレンジ会場が広がっている
小生はちゃっかり滑稽な死神衣装まで身にまとって、ひょこひょこやって来てしまったのだ
何故だ。全く、理解できない。
自分でも自分自身の行動が理解できないことが小生とて稀にある、それが、まさしく、今の状況だった

小生は眉をひそめながらにこにこ笑顔のDaddyを見上げる
黒いマントをはおって楽しそうに笑うヴァンパイア姿の彼が、小生の目に映る

「どうしたジャンドゥーヤ?パーティーに来たことが無いから、どうやって楽しめばいいか分からないかい?」
「……お前は何を楽しんでる。かぼちゃパーティーなどやかましいだけではないか。何がそんなに楽しいんだ?」

Daddyは小生の言葉に少し驚いたようだった
ただ、一瞬だけ目を丸くして、それから彼は困ったような笑顔を浮かべる
それから、かぶっていた黒いシルクハットを小生の前でぐるりとひっくり返した
何をするのかと眉をひそめる小生の前で、彼は笑ってぱちんと帽子のつばを指ではじく。
途端に、帽子の中から、バラバラと色とりどりの菓子が落下し始める
先ほどまでそこになかった、キャンディや、チョコレートや、クッキーが、一気に小生の足元に散らばった

「君がこうして仮装して、ここにいる。それだけで俺は楽しいよ。一緒にいるだけで嬉しいし、楽しいんだ」

恥ずかしがることもなく、平然とそう言いながら、Daddyは帽子をかぶりなおした
呆気にとられたままの小生の前で、彼は自分がマジックで出してみせたチョコレートの一つを口に放り込む

なんだ、いまのは。
彼は一体、何をやった?
彼が寸前までかぶっていた帽子の中に、こんなにたくさんの菓子がはじめから隠されていたとは思えない。
ならば、いったい、あんなに、どうやって…?
小生の頭の中を一気に疑問符が駆け巡る、必ず、なにか仕掛けがあるハズだ、
種も仕掛けもない手品など成立しないのだから、
世の中に魔法など存在するわけがないのだから、
理由もなにもないなんてことは、

「君は、何か理由が無いと不安かい?」

Daddyの声が、酷く優しくそう響いた
黒いヴァンパイアは、その手に一つキャンディを乗せて、それを小生にそっと手渡す

「友達ってそういうものだろう?君との時間を楽しいと思うのに、こじつけた理由なんて、いるのかい?」

滑稽なほど、単純な話だ。
分かっていた。
ハロウィンなど馬鹿馬鹿しいと。
パーティーなどつまらないと。
そう口では言いつつも、それでも小生がこんな仮装までして、のこのこ此処へ足を運んだ理由は

この、男だ。

この小生を、ハロウィンパーティーなどに呼び付け、
ゆるゆると、優しいだけの笑顔を浮かべて、
理解できない手品なんかをにこにこ披露して見せて、
あげく、「友達」などと、平然と言って見せる、

この男の目の前に、

小生はいつのまにか立って、
いっしょに話をして、
手品を見て驚いて、
菓子なんか、受け取ったり、して

小生は受け取ったキャンディを見つめて、思わずフッ、と息をついた
Daddyは相変わらずにこにこしたままで、
その笑顔はまるで、お前の心の中などお見通しだと、素直にパーティーを楽しめよと、
あっさりそう見抜かれているかのように優しくて。
それでもその笑顔を睨みつけて、小生は、また、心の内とは反対の冷たい皮肉を吐いた。

「いつから……小生とお前は、友人になっていたのかな?」
「…ははは、…じゃあ、今から友人と思ってくれればそれでいいよ、」


口に放り込んだキャンディは、甘ったるくて吐きそうだった。
それでも小生は、これがハロウィンというものかと、満足感に似た感情すら抱いていたのだった。



さかさまマジック

(楽しいパーティーへようこそ)



***
電気雨さま宅、ジャンドゥーヤさんお借りしましたー! ジャンドゥーヤさんは天邪鬼ということで、楽しいことを素直に楽しめなかったり、Daddyのマジックも素直に感動するよりはどこに仕掛けがあるんだ、どうしてそうなったんだ!と裏を読んじゃうタイプなのかなと睡蓮の妄想が膨らんで膨らんでとても楽しかったですすみません!!/// ジャンドゥーヤさんのかっこいい喋り方が上手く扱い切れず、意識してあれこれ模索していたのですが、こんな感じに落ち着きました…!! ほのぼのというかもうまあなんていうかすみません土下座しておきますぺちゃっ Daddyも天邪鬼なジャンドゥーヤさんの本当の気持ちを察して、余計慣れ慣れしく友達とか言いはっちゃえばいいんじゃない!ジャンドゥーヤさんももっとDaddyにデレればいいんじゃない!!ハァハァ!( おもいっきり私の妄想が入っておりますが宜しければお持ち帰りくださいませ…! ジャンドゥーヤさん、パーティーに来てくれてありがとうございました** 電気雨さま、ステキなモデルさんをどうも有り難うございました!! また機会がありましたら宜しくお願いいたします~´∀`**



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お持ち帰りさせていただきます
ふぉぉぉありがとうございます!
ジャンドゥーヤが天の邪鬼でツンツンしていて、こっちはずっとニヤニヤしてました(
ね!もっとデレたらいいですのにね!
ありがたくお持ち帰りさせていただきます!
今回はありがとうございました!
電気雨 1102 1759 ( Wed ) edit
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