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Sonさま宅ミミちゃんお借りしました!
ご本人様のみのお持ち帰りでお願いします



バンシー、という名前の妖精を、ミミは聞いたことが無かった
その妖精は、たいてい美しい女性の姿で現れ、白い布を頭にかぶって家の窓や玄関の前に立ち、
深紅の瞳に涙を溜めて、大声で泣きながら手をたたいたり窓をガンガンやったりする
そうして彼女が大騒ぎした家では、翌日の朝誰かが死ぬ
バンシーが死を告げる恐ろしい妖精であることも、だからこそハロウィンの仮装には相応しいダークな存在であることも、ミミはちっとも知らなかったのだ
だからミミのおおきなくりくりした瞳には、単純な事実しか映らなかった

ちっちゃな女の子が、泣きそうな顔でシーツかぶって立ち尽くしているのだ。
この華やかなパーティー会場で、たった一人、今にも泣き出しそうな顔で!

みんなが思い思いに華やかな仮装をし、オレンジ色に染まったパーティーの会場
その隅っこで泣きはらした目でパンプキンパイを見つめる少女に、ミミはそうっと近づいて行ったのであった


***


そもそもミミは大のハロウィン好きなのだ。
ハロウィンパーティーが開催されると聞いて、わくわくしながらここまで足を運んだ
お気に入りの猫耳パーカーに黒のスカート、別名「みーちゃんの最強装備☆」を着こなして、
お菓子片手に可愛いしっぽをゆらゆら揺らしながら、わくわくてくてくやって来たのである

「わあああ!みーちゃん感激!さすがだねハロウィン!!さすがわたしが惚れた男だよ~!!」

美味しいパンプキンパイにかぼちゃプリン、賑やかなパーティーに華やかな仮装、
その場にいる自分まで深いオレンジ色に染まってしまいそうな、この、なんともいえない独特の雰囲気!
あああこれだからハロウィンはたまらないよ最高に気持ちいいんだよ!!
年に一度、待ちに待ったこの瞬間にうっとりと酔いしれ、誰にともなく一人でニコニコ幸せオーラを放出しまくるミミ。
その後ろで軽やかに、楽しげに、彼女の細いしっぽが揺れる

そんな彼女の視界のはじに映る、真っ白いシーツをかぶった女の子
よくよく見ればピクリとも動かず、彼女はその瞳で哀しそうにうつむいていた。
ミミはその泣きはらした目を見つめて戦慄する、

この、素晴らしいハロウィンを
古く欧米より伝わるこの歴史ある伝統文化ハロウィーンを、
楽しめて、ない、子が、いる!!!!

そう思ったらもう我慢できなかった。
そもそもミミは、大のハロウィン好きであるまえに、
泣き顔を健気にもシーツで必死に隠そうとする女の子を放っておく様な冷たいクロメなんかじゃない
泣いている女の子がいたら、誰であろうと頭を撫でてよしよししてあげて、ぎゅってして大丈夫って、そう言ってあげたいクロメちゃんなのだ。

だってハロウィンの日だもん。
ミミはそう思う。

わたしの大好きな、ハロウィンの日だもん。
あの子にだって楽しんで欲しい。
あの子にだって笑って欲しい。

だからミミはそうっとその子に近づいた、後ろからぎゅっと抱きしめた。
ビクリと肩を揺らす真っ白なシーツの塊の、頭を撫でてよしよししてあげた。
泣かないで、笑って、大丈夫だよ、

「だって、今日はハロウィンだもん」

赤い瞳の女の子は、呟かれたミミの声にそうっと顔をあげて、その泣きはらした目を細めてミミを見つめる
ミミがにっこりとほほ笑むと、彼女も釣られて小さく微笑んだ、
ような気が、しなくもない。

「貴方のお名前は?」
「……エマ…、エマだ。エマでいい」
「じゃあエマちゃんだ、わたしはミミだよ!みーちゃんはハロウィンが大好きなの!一年前からハロウィンを待ってるの♪お菓子をたくさん用意して、飾り付けの準備をして、それなのにエマちゃんが泣いてたからね、わたしはびっくりしちゃったの!ねぇどうして泣いてたの?みんなのアイドルみーちゃんが、貴方の相談に乗ってあげちゃうよ?」

もごもごと口ごもる彼女の背中にくっついたまま、
それでもエマと名乗ったこの子はミミを振り払おうとしなかったから、ミミは矢継ぎ早にいつもの軽口を叩いてみる。
エマの方は次々と襲ってきたミミの言葉に困惑したのか、もごもご口調のまま顔をしかめた

「泣いてたって言うか…ぐすっ…心配してくれるのはありがたいが、お前は俺のアイドルでも何でもないしな……ぐず…」
「えーなんでなんで!?エマちゃんは泣いてて、わたしは心配してるんだよ?それなのに、このミミを非難しちゃう?エマちゃんってばすごいな~!!実は天然さん?」
「…俺はバンシーの仮装をしてるんだ、泣いてて当たり前だろう」
「ばんしー?そっかそっか!シーツかぶって泣いてるの隠そうとするぐらいだもんね!?エマちゃんそうとう恥ずかしがり屋さんなんだ!!そういう仮装だって言い訳するってわけだね!?」
「…(話が通じねえ…!!!)…」

何故か呆然と固まったままのエマにミミはそっかそっかと大きく頷く、
でも大丈夫だよエマちゃん!!お姉さんに任せなさい!!泣いてたって言うのは、秘密にしといてあげるからね☆
ぱちん!と可愛らしく撃ちだしたミミのウィンクが、喜ばせられるハズのエマを硬直させてしまったけれど、
それでもミミは気にしないことにしてその口を開いて喋り続けることにする、あ、パンプキンパイ食べる?美味しそうだもんね!ミミは食べちゃお!いただきま~す!!
エマを置き去りにしたまま、一人でパンプキンパイをもぐもぐやって、それでもそのパイの味はやっぱりミミを幸せにしてくれて、

「エマちゃんも食べなよ、すっごく美味しいよ!!ハロウィ~ンって感じ!!」

屈託のないその笑顔は、石化しかけたバンシーの心を、ちょっぴり動かして、

「…………お前、名前はミミって言ってたな」
「そうだよ!エマちゃん!みーちゃんはハロウィン大好きクロメ、そして困ってる子を放っとけない優クロメ!!ほんとは寂しがり屋のウサギちゃんなんだけどね!」

もぐもぐとパイを口に入れたまま訳の分からない冗談を飛ばしつつ、それでもミミはにっこりと笑う
エマはそんなミミを見て、自分もパンプキンパイにそっと手を出した

「エマージェンシープログラムだ」
「んん?なにが?」
「俺の名前さ。エマージェンシープログラムで、エマだ」

ぱくり、パンプキンパイを頬張るエマの、ちいさな頬が少し緩んだ。
ミミもまた一口、彼女と同じパンプキンパイをその口に頬張る

「ふふっ、じゃ、やっぱりエマちゃんだ」

エマの仮装が結局なんだったのか、どうして彼女が泣いていたのか、ミミにはさっぱり分からない。
それでもミミは、パンプキンパイが美味しくて、エマが横で笑ったのが嬉しくて、誰にともなく笑って見せた
その後ろで軽やかに、楽しげに、彼女の細いしっぽ、がまた揺れる

彼女が浮べたオレンジ色の笑顔は、泣き虫バンシーのほっぺたに張り付いて、取れなくなったようだった。


パンプキンスマイル

(エマちゃーん、そろそろシーツ脱いだらー?)
(だ・か・ら! これは仮装なの!!!!)



***
Sonさま宅ミミちゃんお借りしました! 「ハロウィン大好きクロメ」なミミちゃん、ウザいぐらいうるさい、けど本当は…「困ってる子を放っとけない優クロメ」!!(無理矢理) エマちゃんは泣き虫ガールなので、ミミちゃんのステキウィンクやら眩しいくらいのステキ笑顔攻撃にいちいち固まったり反応が遅れたりするだろうけど、それでも最後にはきっとミミちゃんの優しさに気を許してしまうんだろうなと、! ミミちゃんうちにはいないタイプの子だったので、書いていてほんと新鮮でした…!! ミミちゃんの可愛らしさが出しきれてない気がして…うおおお文章力不足ですみません…!!! よろしければお持ち帰りくださいませ…!! ミミちゃん、パーティーに来てくれてありがとう! Sonさま、ステキなモデルさんをありがとうございました!!  また機会がありましたら宜しくお願いします*



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お持ち帰りさせて頂きます!
はわわ、もうできあがってる・・!うっうちの子が動いてる・・!
素敵なお話、本当にありがとうございます!!すっごく上手です!!
二人ともとっても可愛らしくて、にやにやが止まりません・・!(半分親バカ)
場面の一つ一つがすごくイメージできて、
ああうちのクロメだったらこんな風に騒ぎそうとか、
何度も読み返してはにやにやしっぱなしです(やっぱり親バカ)
エマちゃんとっても良い子さんなので、お友達になれたらいいなぁ・・!
本当にお疲れ様でした!!
こちらこそ、またご機会がありましたら、よろしくお願い致します!
「パーティ、とっても楽しかったよ!誘ってくれてほんとにありがとう!
・・ふふ、また会えるといいな♪じゃあねっ、とりっくおあとりーと!」
Son 1102 0002 ( Wed ) edit
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