山羊色さま宅シンゾウくんお借りしました!!!!大変遅くなってしまってすみません!!
ご本人様のみお好きにどうぞ!**
ご本人様のみお好きにどうぞ!**
一歩そこへ足踏み入った途端に、変だな、と彼はぼんやり思った。
なんだか涼しいようなあったかいような、どちらともつかない温度差がふわりとシンゾウを包んだのだ。
それが店の構造によるものか、あるいは雰囲気とでも呼べばいいのか、はたまた気のせいというやつなのか。
どれにせよ間違ってるような気もするけど。シンゾウは帽子であふれ返った店内を見渡しながらのんびりそう思う、
「いらっしゃい、」
後ろからかかった聞き覚えのある声、
シンゾウは彼の登場の仕方に肩をすくめることもなく、手近にあった帽子を一つ手にとってみたりしながら彼を見上げた
「約束通り来てあげました」
「うん、また会えて嬉しいよ」
ごちゃごちゃした帽子屋の店主は、彼を見るなりにっこり微笑んでから嬉しそうに頷いて、
何かよく分からない箱を抱えたまま右手でぽんぽんとシンゾウの頭を撫でる
こうまで露骨に子供扱いされるとシンゾウだって正直困る、
それでもそれは決して嫌悪感を抱く様なものではなかったので、彼は何も言わなかった
帽子が欲しいのだと、彼に話したのは今からちょっと前ぐらいだったような気がする。
偶然出会った彼が帽子屋だということは聞いていたけど、実際店に入ったのはこれが初めてだ
大きな灰色の尻尾が目の前で揺れて、シンゾウは彼を見上げる
「Daddyさん、やっぱり帽子屋似合ってますね」
帽子屋の店主はにこりと微笑んで、俺もこの店が大好きでさ、と
照れもせずにさらりと言ってのけた
帽子がみた夢
「それで、どういう帽子がいいんだい?」
あっちこっちに所狭しと置かれた帽子にシンゾウがちらちらと目移りしていると、Daddyがゆっくりそう言った。
一日中眺めてても俺は構わないけど、一日かかっても帽子が見つからないかもしれないからさ、
困ったようにそう笑うDaddyを見て、シンゾウはこの前会った時に彼が言っていた言葉を思い出す、俺にもなにがどこにあるんだか分からないんだ――。
ことごとく変な帽子屋だ。そこがまた、彼らしくもあるんだけれど。
「そうですね、もうすぐ夏ですし、日よけの帽子があったらいいな、なんて思ってるんですけど…僕でもかぶれるやつで…」
そう言いながら、シンゾウは自分のぴょこぴょこと外にハネる髪型を指差して肩をすくめた
Daddyはいつもの優しい笑顔を浮かべて、彼の髪に手を伸ばす
「ほんと、可愛い髪型だなぁ、」
…可愛いだなんて言われたこと無いですよ、シンゾウの言葉は声になることはなかったけれど。
すこし顎に手をやって考え込んでいるようだったDaddyも、そのうち抱えていた大きな箱を床に置いて、
こっちにおいで、とシンゾウを手招きして呼んだ
シンゾウが大人しく彼について行くと、店の奥はさらにうず高く積まれた帽子でごちゃごちゃだった
形も、大きさも、様々な帽子、帽子、帽子の波だ。
棚に積まれ、塔のようになり、それでも置き場所が無いのか壁際にまでかかっている。
色とりどりの帽子からあふれる色の洪水のようで、頭が痛くなってくるような気さえする。
あるのかどうかもよく分からない心臓がどきどきしたような気がして、シンゾウは右手をそっと胸に押し付けた。
「たいていの人はビックリするんだ、…お前さんもそうかい?」
「え、ええ、……」
そうか、Daddyが隣で笑ったような気がして、シンゾウは彼を見上げる。
「帽子屋は俺の夢でさ」
棚に積んであった赤い帽子を手にとって、懐かしむような声で彼は言った
ゆめ、とシンゾウは心の中で繰り返す。夢、か、。
Daddyが帽子をゆっくり撫でているのを横で見ていると、なんだかシンゾウにも彼の想いが伝わってくるような気さえして、
彼がどんな想いでこの店を開いたのか、すこし分かるような気さえして、
「Daddyさんは、夢を叶えたんですね」
自分でそう言って、言いながらシンゾウは何故か複雑な気分になる。
そうか、この人は自分で夢を描いて、それを叶えてしまえる人なのだと、そう漸く理解できたような
人の夢をのぞいたり、それを描くことが出来る僕にも出来ない、一番重要なことをやってのける人なのだと、
でも、僕が見せる「夢」と、彼の言う「夢」とは違うのかもしれない、とシンゾウはぼんやり思う
だってなによりシンゾウは、『夢』を見たことが無いのだから。
ところがDaddyの方は、シンゾウの言葉に納得のいかない様な曖昧な笑顔を浮かべて見せた
「…さァ、どうかな。俺は夢を叶えられたのかな」
シンゾウが見つめている間にDaddyは手に持っていた赤い帽子をそのまま元の棚にぽん、と軽く積んでしまって、
また別の壁にかかっていた黒い帽子を手に取った。
それをシンゾウに見せて、これはどう?とでも言いたげに首をかしげて見せるのだけど、
Daddyの言葉に疑問符を浮かべたままのシンゾウにはその帽子が自分に似合うかどうかもよく分からなかった
「どうして、…?だって、帽子屋はちゃんとあって、Daddyさん、アンタここで店長やってるんでしょう?」
シンゾウがひとつ息をするたびに、Daddyの目がちょっとずつ大きく見開かれていくような気がした
それから彼はいつもの優しい笑顔でゆるりと微笑んでから手元の帽子を元に戻す、それでも何か言おうとはせずに、
また別の帽子をとって、それからひとつ溜息に似た息を吐いた
「俺の夢は、ただ帽子屋をやる事じゃなかったんだ。俺は、それに気づかなかった」
あまりにも酷く優しいその声に、シンゾウは思わず口をつぐむ。
どういうことです、シンゾウがそう吐きだす前に、Daddyは持っていた帽子をシンゾウの頭にポンとのせる。
それはシンゾウの綺麗な緑色の髪の毛にちょこんと行儀よく乗ったまま
「これはどう?」
Daddyが持ってきた鏡をのぞいて、シンゾウは首を動かす
帽子の色は涼しげな深い青。リボンがちらちらみえるけど、子どもっぽいというよりは上品な感じだ
帽子に詳しくないシンゾウにはこの帽子が何という種類かは分からなかったけれど、ただただ、いい帽子だと思った
この店の帽子。この人が作った帽子。ただなんとなく、いい帽子だとそう思った
「青は嫌いかい?」
鏡を覗き込んだまま静止するシンゾウに、Daddyはふんわりとそう聞いた
「いいえ、」
シンゾウはDaddyを見上げると、彼の問いかけを笑う
「むしろ大好きですよ」
***
「シンゾウその帽子似合うなぁ…!俺の髪と一緒の色?ステキィ」
「やめてよ兄貴、偶然だよ」
わいわいとよってきたカミカクシに、シンゾウはぴしゃりと言い放つ
偶然、という言葉を口にしてから、そういえばDaddyさんと出会ったのも偶然だったっけ、ぼんやりとそう思いだした
彼と出会えたのも、この帽子と出会えたのも、ただの偶然だろうか。
シンゾウはかぶっていた帽子をそうっと脱いで、ソファーの上に座りこむ
カミカクシがうるさく隣にどさっと陣取った音も、シンゾウにはよく聞こえなかった
ソファーの背にもたれかかって、手にした彼の帽子を顔の上にのせると、 たちまちそこは真っ暗になる
シンゾウは何故か暖かい暗闇の中で、できるだけそうっと、目を閉じた
( ここでなら、彼のようにごちゃごちゃで、賑やかな、「夢」が見られるかも知れない )
***
応募時にファンだなんて仰っていただいてウワァアァア!!!と舞い上がっておりましたありがとうございます!!/// AC企画も応援して頂いていたのですね!!!ふぉぉ本当にありがとうございます!!!ガッガッ 夢写しだなんて可愛いくって素敵な能力を持つシンゾウくん…!! どう生かそうかなぁえへへうふふ///((( とかいってるうちに時間ばかりが経ってしまいましたごめんなさい…!!スライディング土下座ズシャァァ!! わたしもDaddyもシンゾウくんにメロメロでした´///` 夢をみない、だなんて素敵な設定をどうしても生かしたくってちょっと無理矢理詰め込んだ感が…!すみません…!!(白目) ちょっとウザいくらいDaddyがシンゾウくんに懐いてるのは大目に見てあげて下さい…笑* 眠る方の夢が見られないなら、せめてシンゾウくんにも思い描ける素敵な未来がありますように! Daddyは夢を追いかけるあまり後悔もたくさんしちゃったみたいですが…!! シンゾウくんこれからも遊びに来てくれていいんだよ…!!(( ところで山羊色さんのお宅が素敵なお子さん勢ぞろいで設定を眺めるのが辛かったです…!<>///<> ロクシディアさんとルクリアちゃんとかもう骨抜きにされました…´///`涎拭かないと…!ゴシゴシ しかもりんくありがとうございまああきゃあああ//// 一通り歓喜のガッツポーズをした後にリンク折り返しさせてもよろしいですか…!ドキドキ シンゾウくん、長い間大変おつかれさまでした!山羊色さま、素敵なお子さんをありがとうございました** また機会がありましたらぜひよろしくお願いします!深謝!!
* comment
無題
睡蓮さま、お久しぶりです、こんにちは!
もちろん覚えていますとも! ダンディーなDaddyさんを忘れることなんてできません!
それにしてはすっかり受け取り報告が遅くなってしまって、
本当に申し訳ない限りです。すみません(><
うわあああああん! うちの子がDaddyさんと喋ってる…!!!!
まずそこに感動しました!
そして動いてる!! 頭なんて撫でてもらってもう、もう…!!
読んでいる間ずっとDaddyさんの紳士ぶりにドキドキさせられっ放しでした(*ノノ)
冒頭から素敵で不思議な帽子屋さんの雰囲気がムンムンの上、
帽子の溢れかえる店内を歩くDaddyさんがまた不思議な香りを漂わせていて、
普段ドライなシンゾウがその空気に翻弄される様子に、つい笑いが漏れてしまいました。
Daddyさんとシンゾウのシリアスな展開にただただ息を詰まらせて見入っていたら、
急なカミカクシの登場で本気で吹きました。カン君こんなところで何してるの…!?
嬉し過ぎるサプライズ、ありがとうございますvV
そしてシンゾウのDaddyさんとカミカクシに対する態度の差に、更に吹きましt((
睡蓮さま、よく分かっていらっしゃる!!
というかうちの兄弟仲をここまで汲み取って下さる方がいて幸せです(●´ェ`●)
Daddyさんも、いやDaddyさんに限らず鯉壱君でも壱拾色様でも、
うちのお店は誰でも歓迎しますので、よかったら荒らs…
げふん、遊びに来て下さって構いませんよ!
そしてシンゾウ(むしろ私)はまた帽子を物色しに行く気満々なので、
遊びに来ていいなんてあたたかいお言葉に本気で甘えてしまいますよ、大丈夫ですか!
今回は本当に素敵で胸がきゅっとなるお話を書いて下さり、ありがとうございました!!
こちらこそ、また機会がありましたら、その時は宜しくお願いします!
もちろん覚えていますとも! ダンディーなDaddyさんを忘れることなんてできません!
それにしてはすっかり受け取り報告が遅くなってしまって、
本当に申し訳ない限りです。すみません(><
うわあああああん! うちの子がDaddyさんと喋ってる…!!!!
まずそこに感動しました!
そして動いてる!! 頭なんて撫でてもらってもう、もう…!!
読んでいる間ずっとDaddyさんの紳士ぶりにドキドキさせられっ放しでした(*ノノ)
冒頭から素敵で不思議な帽子屋さんの雰囲気がムンムンの上、
帽子の溢れかえる店内を歩くDaddyさんがまた不思議な香りを漂わせていて、
普段ドライなシンゾウがその空気に翻弄される様子に、つい笑いが漏れてしまいました。
Daddyさんとシンゾウのシリアスな展開にただただ息を詰まらせて見入っていたら、
急なカミカクシの登場で本気で吹きました。カン君こんなところで何してるの…!?
嬉し過ぎるサプライズ、ありがとうございますvV
そしてシンゾウのDaddyさんとカミカクシに対する態度の差に、更に吹きましt((
睡蓮さま、よく分かっていらっしゃる!!
というかうちの兄弟仲をここまで汲み取って下さる方がいて幸せです(●´ェ`●)
Daddyさんも、いやDaddyさんに限らず鯉壱君でも壱拾色様でも、
うちのお店は誰でも歓迎しますので、よかったら荒らs…
げふん、遊びに来て下さって構いませんよ!
そしてシンゾウ(むしろ私)はまた帽子を物色しに行く気満々なので、
遊びに来ていいなんてあたたかいお言葉に本気で甘えてしまいますよ、大丈夫ですか!
今回は本当に素敵で胸がきゅっとなるお話を書いて下さり、ありがとうございました!!
こちらこそ、また機会がありましたら、その時は宜しくお願いします!